商社マン シニア活用

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連載企画  「シニアの活用

シニアの活用 その1                        10/08/12


なぜ、今、シニアの就活問題が出てきているのかー 今回から連載の形式でシニアの活用をテーマにして
取り上げてみたいと思います。

   先ずは、今後の話の基礎として簡単にシニアの定義を確認しておきたいと思います。

一般的に年齢からみると45>歳から65歳までの年間の層で所謂、中高年層。中年45-54歳、
高年55-65 を更に細分化して以下のように分類すると各年代層の特質が出てくると思わ
れます。

S-1 世代 45-49歳 : 会社のコア人材として責任ある世代。子供の教育は中高生。

S-2 世代 50-54歳 : 引き続き経営・管理の中核。責任世代。子供の教育費もピーク(高校・大学)

S-3 世代 55-59歳 : 役職定年を経て定年に至る。責任は若干軽減。子供の教育はほぼ終了

S-4 世代 60-64歳 : 定年を経て嘱託、顧問などの軽度な責任の仕事がメイン

S-5 世代 65歳以上 : 悠々自適の生活を楽しむとされる年金世代


    次に、なぜ今、シニアの活用が必要なのかですが、制度的な側面から見てみると次のような
ことが言えます。 日本人の平均寿命が男性で約80歳、女性で約86歳になったことに見られる
ように高齢社会の到来が現実化したことを受け、赤字財政を背景として社会保障を継続・維持
する面から年金の支給開始年齢を65歳以降に遅らせるという制度改革をしなければならない
事態が出てきたことがあります。


そして、その制度変更に伴い今までの定年60歳を65歳まで引き上げることにより年金支給
開始までの期間にシニアに働いて頂くことにより収入のない空白の期間(上記S-4>世代に相当)
を無くすという制度設計から来ています。 この前提には健康で働く意志のある65歳までのシニアは
職場で十分に活用され、収入を得られるとの判断、期待感があります。

一義的には、年金の運用、システム維持の側面が強いものの広く見れば社会からの要請(高齢社会
への対応)といえるもので企業、事業所に高齢者の継続雇用への協力を要請しているものです。

これを受けて各企業が定年の延長、再雇用制度の採用によりシニアの活用、就職機会の提供で対応
しているのが今までの流れと言えます。ここで見逃してはならない点は企業にとってこの社会的な要請
である定年延長、シニアの活用が企業活動全体として有益なものと理解され、積極的に対応すべき
課題として捉えられているかどうかということです。現実的には、社会貢献、企業の責務として受け身的
に捉えられている例が多いということではないでしょうか。 


シニアを活用することにより企業の目的である収益の増大を図るといった観点からは理解
されていない部分があるということです。この点に対する企業の反応が概ね消極的でシニア
雇用による固定費の増大を避けるために定年の延長よりは嘱託再雇用による年ごとの見直し
規定を入れた実質的な変動費扱いで対処していることにもみられます。

本音としてシニア雇用はやるにしても選択的な雇用に留め(優秀な人材のみ雇用する)、
不景気に伴う業績悪化時等の余裕のない時期であればシニア雇用は極力避けたいという
ことだと思われます。 当然のことながら、シニア活動が何らかの企業活動にとって有益であると
判断されるならば、企業としては以上の社会要請とは別に自分の意志でシニア活用を取り上げ、
定年延長のシステムを導入し、企業収益の増大とセットで成果を出していたことでしょう。 


制度上、定年の上限は基本的にないのですから企業は自由に人事システムを変更できる立場
にあるわけです。現実はその反対ということで、企業としてシニア活用は必ずしも企業活動にとって
有益ではないとの判断があるということになります。


以上



次回 「シニアの活用 その2」では、企業から見たシニア活用について取り上げて
みたいと思います。


座間 安紀夫
(株)ハート・クオリア 代表取締役


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